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薬剤師による調剤薬局の仕事解説

事務仕事から人材育成まで、調剤薬局の仕事すべてを管理薬剤師が解説します。

粉砕時、自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算のどちらを算定すべきか

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錠剤を粉砕する場合、自家製剤加算もしくは嚥下困難者用製剤加算を算定可能であることが多いですが、どちらを算定すべきか悩んだことはないでしょうか。

どちらを算定しても良いというケースもあるのですが、誤算定してしまうと後々面倒なことになりますから、あらかじめ勉強しておき、正しく算定できるようになっておきたいものです。

ここでは、自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算のどちらを算定すればよいか迷うケースについて解説します。


自家製剤加算、嚥下困難者用製剤加算の算定要件

自家製剤加算、嚥下困難者用製剤加算の算定要件について、詳しくはそれぞれ以下の記事にまとめてありますので、そちらを参照してください。


それぞれの加算の違いを簡単に表にまとめてみました。

自家製剤加算 嚥下困難者用製剤加算
対象患者 誰でも 嚥下障害等があり、市販剤形では服用が困難な患者
算定要件 市販されている医薬品の剤形では対応できない
特殊な技術工夫(例:錠剤の粉砕) 剤形の加工(例:錠剤の粉砕)
算定回数 調剤行為ごと(何回でも) 処方せん受付1回につき1回
対象医薬品 内服薬、頓服薬、外用薬 内服薬のみ
点数 錠剤内服薬の場合20点/7日 80点
対象患者の項目を見ていただければ分かるように、自家製剤加算より嚥下困難者用製剤加算の算定要件の方が厳しいです。

自家製剤加算は対象患者の縛りがないのに対し、嚥下困難者用製剤加算は嚥下困難等がある患者に対してのみ算定可能です。また自家製剤加算は内服薬、頓服薬、外用薬に対して算定可能なのに対し、嚥下困難者用製剤加算は内服薬のみで算定可能です。

嚥下困難者用製剤加算を算定可能なケースでは、自家製剤加算も算定可能であることがほとんどです(全てと考えて良いです)。しかし、同一剤においては自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算を同時算定することはできませんから、どちらを算定するかを決めなければなりません。

次の項目では、自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算のどちらを算定すべきか処方例をあげて見ていきましょう。

処方例で見る、自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算のどちらを算定すべきか

処方例1

<処方例1>
カルブロック錠16mg 1錠
分1 朝食後 14日分
嚥下障害のため、上記粉砕指示
処方例1は自家製剤加算、嚥下困難者用製剤加算のどちらの算定要件も満たしており、どちらの加算を算定しても構いません。

自家製剤加算を算定すると点数は40点、嚥下困難者用製剤加算を算定すると点数は80点ですから、嚥下困難者用製剤加算を算定した方が薬局としては得です。

処方例2

<処方例2>
カルブロック錠16mg 1錠
分1 朝食後 30日分
嚥下障害のため、上記粉砕指示
処方例2は処方例1の日数違いです。

自家製剤加算を算定すると点数は100点、嚥下困難者用製剤加算を算定すると点数は80点ですから、自家製剤加算を算定した方が薬局としては得です。

自家製剤加算の点数は日数が長くなるにつれて高くなります。1剤の場合、処方日数22日で80点となり嚥下困難者用製剤加算の点数と並びます。また、処方日数29日で100点となり、嚥下困難者用製剤加算の点数を超えます。

したがって、処方日数が29日以上あれば自家製剤加算を算定した方が薬局としては得になります。処方日数22日〜28日の場合、自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算の点数は同じですが、算定要件が緩い分、自家製剤加算を算定した方が返戻などのリスクが減り、薬局としては有利です。

処方例3

<処方例3>
カルブロック錠16mg 1錠
分1 朝食後 30日分
ミカルディス錠40mg 1錠
分1 夕食後 30日分
嚥下障害のため、上記粉砕指示
処方例3は2剤ある場合です。

自家製剤加算を算定すると点数は200点、嚥下困難者用製剤加算を算定すると点数は80点ですから、自家製剤加算を算定した方が薬局としては得です。剤数が増えると、自家製剤加算の方が断然お得になります。

処方例4

<処方例4>
カルブロック錠16mg 1錠
分1 朝食後 7日分
プルゼニド錠12mg 1錠
頓用 便秘時 10回分
嚥下障害のため、上記粉砕指示
処方例4は内服薬と頓服薬が処方されているパターンです。

嚥下困難者用製剤加算は頓服薬に対しては算定できませんので、頓服薬に対しては自家製剤加算90点を算定する以外選択肢はありません。

内服薬は処方日数7日ですので、内服薬に対しては嚥下困難者用製剤加算80点を算定した方が薬局としては得です。

処方例5

<処方例5>
カルブロック錠8mg 0.25錠
分1 朝食後 14日分
上記粉砕指示
処方例5は嚥下障害があるか不明なケースです。粉砕指示はありますが、嚥下障害のための粉砕ではなく、有効成分の均一性を保つための粉砕指示である可能性が高いです。

患者に聞くなどして、嚥下障害等により錠剤の服用が困難であることを確認した場合、嚥下困難者用製剤加算80点を算定できます。嚥下障害等であることを確認できなかった場合、嚥下困難者用製剤加算は算定できず、自家製剤加算40点を算定します。

実際には、処方せん上に「嚥下困難のため」と明示されていない場合、たとえ患者インタビューにより嚥下障害等があることが確認できたとしても、自家製剤加算を算定することが多いと思います。自家製剤加算の算定を満たすことは明らかな一方で、嚥下困難者用製剤加算の算定要件を満たすかは疑問の余地が残りますから、返戻などのリスクを考えると安全策として自家製剤加算を算定しておいた方が無難です。




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