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薬剤師による調剤薬局の仕事解説

事務仕事から人材育成まで、調剤薬局の仕事すべてを管理薬剤師が解説します。

調剤基本料の特例除外は困難だが不可能ではない。その具体的な方法を教えます。【2016年4月診療報酬改定】

2016年4月診療報酬改定 かかりつけ薬剤師 調剤基本料

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みなさんの薬局は調剤基本料1を算定しているでしょうか?
調剤基本料1以外は調剤基本料の特例と呼ばれ、低い点数を算定せざるを得ません。しかし特例除外の要件を満たすことで、調剤基本料1(または調剤基本料4)を算定できるようになります。
ここでは特例除外とは何か、特例除外に向けて具体的にどのような取り組みをすればよいかについて解説します。

調剤基本料のおさらい

まず調剤基本料についておさらいをしましょう。
2016年4月診療報酬改定で調剤基本料は細分化され、全部で12種類になりました。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

簡単に説明すると調剤基本料は、調剤基本料1から特別調剤基本料までの6種類と、それぞれの50/100減算の6種類、全部で12種類あります。

区分 点数
調剤基本料1 41
調剤基本料2 25
調剤基本料3 20
調剤基本料4 31
調剤基本料5 19
特別調剤基本料 15
調剤基本料1の50/100減算 21
調剤基本料2の50/100減算 13
調剤基本料3の50/100減算 10
調剤基本料4の50/100減算 16
調剤基本料5の50/100減算 10
特別調剤基本料の50/100減算 8

これら12種類の調剤基本料が特例除外要件を満たすと以下のようになります。

区分 特例除外後の区分
調剤基本料1 -
調剤基本料2 調剤基本料1
調剤基本料3 調剤基本料1
調剤基本料4 -
調剤基本料5 調剤基本料4
特別調剤基本料 調剤基本料4
調剤基本料1の50/100減算 -
調剤基本料2の50/100減算 調剤基本料1の50/100減算
調剤基本料3の50/100減算 調剤基本料1の50/100減算
調剤基本料4の50/100減算 -
調剤基本料5の50/100減算 調剤基本料4の50/100減算
特別調剤基本料の50/100減算 調剤基本料4の50/100減算

特例除外の要件

特例除外の要件として、「平成28年度診療報酬改定について 第2改定の概要 1.個別改定項目について」には次のように記載されています。

1 次のすべてに該当する保険薬局であること。
(1) 当該保険薬局に勤務している保険薬剤師の5割以上が、かかりつけ薬剤師指導料の施設基準に適合している薬剤師であること。
(2) 区分番号13の2かかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3かかりつけ薬剤師包括管理料に係る業務について、相当の実績を有していること。

「相当の実績」とは?という疑問が浮かびますね。
「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」には以下のように、より具体的に記載されています。

1 調剤基本料の注1ただし書に規定する施設基準
(1) 勤務している保険薬剤師の人員の計算は次のとおりとする。
ア 「薬局等の許可等に関する疑義について」(平成11年2月16日医薬企第17号)で規定されている換算方法により算出された員数を勤務している保険薬剤師の人員とする。
イ 届出前3月の勤務状況を基に基準に該当するか判定する。
ウ 「勤務している保険薬剤師の5割」の取扱いについては、アで算出された人員の5割で計算した値の小数点以下を四捨五入した値とする。
(2) かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料の算定についての相当の実績としては、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の合計算定回数が(1)で算出された保険薬剤師1人当たり月100回以上とする(ただし、公費負担医療に係る給付により自己負担がない患者に係る算定回数を除く。)。

つまり特例除外の要件はふたつあります。
一つ目は、勤務薬剤師の5割以上がかかりつけ薬剤師であること。このとき勤務薬剤師数は常勤換算で計算します。かかりつけ薬剤師数は常勤換算ではなく実際の人数です。
勤務薬剤師数の常勤換算については以下の記事を参照してください。ただし、特例除外要件での勤務薬剤師数の計算は小数点第一位を四捨五入し整数とすることに注意してください。「薬局等の許可等に関する疑義について」(平成11年2月16日医薬企第17号)の「1薬剤師員数の解釈について」では小数点第2位以下を切り捨てることになっていますが、それとは小数の扱いが異なります。

二つ目は、月当たりのかかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の合計算定回数÷勤務薬剤師数が100以上であること(自己負担がない患者に係る算定回数を除く)。勤務薬剤師数はもちろん常勤換算です。

かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料については以下の記事をご覧ください。

特例除外のための具体的方策

特例除外のためにはまず、勤務薬剤師の5割以上をかかりつけ薬剤師にしないといけません。

3年以上の薬局勤務経験があり週32時間以上当該薬局に勤務している薬剤師全員がかかりつけ薬剤師として活動することが、前提条件になります。
万が一、かかりつけ薬剤師の要件を満たしておきながら、かかりつけ薬剤師としての活動に消極的な薬剤師がいる場合は、異動させるなりすることでその薬局から追い出さなくてはいけません。
週32時間勤務にわずかに届かないパート薬剤師がいる場合は、説得して32時間以上の勤務に切り替えてもらった方がよいです。

また、勤務薬剤師一人当たり月100回のかかりつけ薬剤師指導料の算定が必要なので、例えば勤務薬剤師数4、かかりつけ薬剤師数2とすると月400回の算定が必要となり、これはかかりつけ薬剤師一人当たり200回の算定です。
かかりつけ薬剤師の負担を減らすため、勤務薬剤師数はなるべく少なく、かかりつけ薬剤師数はなるべく多くというのが基本です。つまり当該薬局は少数精鋭で運営することになります。

説得や異動を行い勤務薬剤師の5割以上をかかりつけ薬剤師にできたら、次はかかりつけ薬剤師指導料の算定を増やします。

算定を増やすためには、まず文書で同意を得なければいけません。
同意を得るための口頭での文言は

「新しく国で始まった制度のご案内をさせていただいてよろしいでしょうか。2016年4月からかかりつけ薬剤師という制度が始まりました。病院にかかりつけのお医者さんがいらっしゃるように、薬局でもかかりつけの薬剤師を持ちませんかという制度です。今まではその都度手が空いている薬剤師が対応していましたが、毎回同じ薬剤師が対応することで話がスムーズになり、相談もしやすくなるというメリットがあります。指名料というような形で、1割負担の方で毎回20円程度お会計が追加でかかることになりますが、よろしければ今後も私が○○さんを担当させていただけませんか」

といったシンプルなものでよいでしょう。
残薬調節や24時間対応などについても説明が必要ですが、まずはかかりつけ薬剤師制度とは何かを理解してもらうため、毎回同じ薬剤師が担当しますということを説明すると話が進みやすいです。

大切なことはこのセリフを言っている途中で、「あのー」とか「えーっと」とか言わないことです。自信満々にスラスラ言えなければ、かかりつけ薬剤師としての信頼は得られないと考えてください。

この同意獲得のための取り組みを、かかりつけ薬剤師指導料の算定が目標回数に届くまでひたすら続けます。

すべての薬局での特例除外は不可能

特例除外のための具体的な方策について述べましたが、こんなの不可能だと思う方がほとんどだと思います。
それはある意味その通りです。調剤基本料が特例となってしまったすべての薬局で特例除外を狙うのは不可能です。
人員配置を考えないといけないし、優秀で従順な薬剤師を一つの薬局に集めなければいけませんから、特例薬局が10店舗あったとして特例除外を狙っていけるのは多くて2店舗程度でしょう。

ですからどの薬局で特例除外を狙うかは重要です。

特例除外に成功し基本調剤料1を算定できるようになれば、基準調剤加算のスタートラインに立つこともできます。大幅な利益改善が見込めますので、長期戦にはなりますが心折れることなく取り組み続けることが必要です。

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