薬剤師による調剤薬局の仕事解説

事務仕事から人材育成まで、調剤薬局の仕事すべてを管理薬剤師が解説します。

基準調剤加算の算定要件についてのまとめ

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一定の基準を満たす薬局は基準調剤加算という、ボーナス点ともいえる点数を算定できます。基準調剤加算は薬局経営者からするとぜひとも算定したい点数なのですが、現場の薬剤師からの反発が強くなかな算定できないという薬局も多いのではないかと思います。

ここでは基準調剤加算の算定要件を詳細に見ていきます。どうやって現場の薬剤師の反発を乗り越えればよいかということも、現場の薬剤師の視点で解説します。



基準調剤加算とは何か

基準調剤について「調剤報酬点数表」には次のように書かれています。

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、基準調剤加算として所定点数に32点を加算する。なお、区分番号00の1に掲げる調剤基本料1を算定している保険薬局においてのみ加算できる。

施設基準を満たし、かつ調剤基本料1を算定している薬局は調剤基本料に基準調剤加算32点を加算していいですよ、ということです。施設基準については後述します。まず大切なことは基準調剤加算を算定するには基本調剤料1を算定していなければならないということです。
2016年4月の診療報酬改定で、基準調剤加算は以下のように12種類に細分化されました。

区分 点数
調剤基本料1 41
調剤基本料2 25
調剤基本料3 20
調剤基本料4 31
調剤基本料5 19
特別調剤基本料 15
調剤基本料1の50/100減算 21
調剤基本料2の50/100減算 13
調剤基本料3の50/100減算 10
調剤基本料4の50/100減算 16
調剤基本料5の50/100減算 10
特別調剤基本料の50/100減算 8

この12種類の中のたったひとつ、調剤基本料1を算定していなければ基準調剤加算を算定することはできません。

調剤基本料2,3を算定している場合であっても調剤基本料の特例除外要件を満たすことで調剤基本料1を算定できるようになり、基準調剤加算を算定可能になります。

基準調剤加算の施設基準

次に基準調剤加算の施設基準について解説します。
基準調剤加算の施設基準については「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)(平成28年3月4日保医発0304第2号)」に記載されていますので、少し長いですがそのまま引用します。

1 基準調剤加算の施設基準
(1) 保険調剤に係る医薬品として1200品目以上の医薬品を備蓄していること。
(2) 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む近隣の保険薬局と連携して、24時間調剤及び在宅業務に対応できる体制が整備されていること。24時間調剤及び在宅業務に対応できる体制とは、単独の保険薬局又は近隣の保険薬局との連携により、患家の求めに応じて24時間調剤及び在宅業務(在宅患者に対する調剤並びに薬学的管理及び指導をいう。以下同じ。)が提供できる体制を整備していることをいうものであり、当該業務が自局において速やかに提供できない場合であっても、患者からの求めがあれば連携する近隣の保険薬局(以下「連携薬局」という。)を案内すること。ただし、連携薬局の数は、当該保険薬局を含めて最大で3つまでとする。
(3) 当該保険薬局は、原則として初回の処方せん受付時に(記載事項に変更があった場合はその都度)、当該担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項(近隣の保険薬局との連携により24時間調剤ができる体制を整備している保険薬局は、連携薬局の所在地、名称、連絡先電話番号等を含む。)等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書(これらの事項が薬袋に記載されている場合を含む。)により交付していること。なお、曜日、時間帯ごとに担当者が異なる場合には、それぞれ曜日、時間帯ごとの担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等を文書上に明示すること。また、これら連携薬局及び自局に直接連絡が取れる連絡先電話番号等を当該保険薬局の外側の見えやすい場所に掲示すること。
(4) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること。
(5) 当該保険薬局の保険薬剤師は、保険調剤に係る医薬品以外の医薬品に関するものを含め、患者ごとに薬剤服用歴の記録を作成し、調剤に際して必要な薬学的管理を行い、調剤の都度必要事項を記入するとともに、当該記録に基づき、調剤の都度当該薬剤の服用及び保管取扱いの注意に関し必要な指導を行っていること。
(6) 当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局していること。
(7) 当該保険薬局の管理薬剤師は以下の要件を全て満たしていること。
ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験があること。
イ 当該保険薬局に週32時間以上勤務していること。
ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に1年以上在籍していること。
(8) 当該保険薬局は、地方厚生(支)局長に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行うとともに、処方医から在宅患者訪問薬剤管理指導の指示があった場合に適切な対応ができるよう、例えば、保険薬剤師に在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な研修等を受けさせ、薬学的管理指導計画書の様式をあらかじめ備えるなど、在宅患者に対する薬学的管理指導が可能な体制を整備していること。また、患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の情報提供をするたに、当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であることを掲示し、当該内容を記載した文書を交付すること。
(9) 当該保険薬局において、調剤従事者等の資質の向上を図るため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づき研修を実施するとともに、定期的に薬学的管理指導、医薬品の安全、医療保険等に関する外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること。併せて、当該保険薬局の保険薬剤師に対して、薬学等に関する団体・大学等による研修認定の取得、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等を行わせていることが望ましい。
(10) 薬局内にコンピューターを設置するとともに、医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)に登録することにより、常に最新の医薬品緊急安全性情報、安全性速報、医薬品・医療機器等安全性情報等の医薬品情報の収集を行い、保険薬剤師に周知していること。(11) 次に掲げる情報(当該保険薬局において調剤された医薬品に係るものに限る。)を随時提供できる体制にあること。
ア 一般名
イ 剤形
ウ 規格
エ 内服薬にあっては製剤の特徴(普通製剤、腸溶性製剤、徐放性製剤等)
オ 緊急安全性情報、安全性速報
カ 医薬品・医療機器等安全性情報
キ 医薬品・医療機器等の回収情報
(12) 薬学管理等の内容が他の患者に漏れ聞こえる場合があることを踏まえ、患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。
(13) 一般用医薬品を販売していること。なお、一般用医薬品の販売の際には、購入される一般用医薬品のみに着目するのではなく、購入者の薬剤服用歴の記録に基づき、情報提供を行い、必要に応じて医療機関へのアクセスの確保を行っていること。
(14) 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、こころの健康づくり、飲酒、喫煙など生活習慣全般に係る相談についても応需・対応し、地域住民の生活習慣の改善、疾病の予防に資する取組を行うといった健康情報拠点としての役割を果たすこと。
(15) 健康相談又は健康教室を行っている旨を当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示し、周知していること。
(16) 医療材料及び衛生材料を供給できる体制を有していること。また、当該患者に在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局に対し保険医療機関から衛生材料の提供を指示された場合は、原則として衛生材料を患者に供給すること。なお、当該衛生材料の費用は、当該保険医療機関に請求することとし、その価格は保険薬局の購入価格を踏まえ、保険医療機関と保険薬局との相互の合議に委ねるものとする。
(17) 地方公共団体、保険医療機関及び福祉関係者等に対して、在宅業務実施体制に係る周知を自ら又は地域の薬剤師会等を通じて十分に行っていること。
(18) 在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績としては、当該加算の施設基準に係る届出時の直近1年間に在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費の算定実績を有していること。
(19) 在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションと円滑な連携ができるよう、あらかじめ患家の同意が得られた場合には、訪問薬剤管理指導の結果、当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点等の必要な情報を関係する診療所又は病院及び訪問看護ステーションの医師又は看護師に文書(電子媒体を含む。)により随時提供していること。
(20) 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者と連携していること。
(21) 当該保険薬局は、地方厚生(支)局長に対してかかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
(22) 特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品について、規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が当該加算の施設基準に係る届出時の直近3月の実績として30%以上であること。
(23) 上記(22)の特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超えるか否かの取扱いについては、「第88調剤基本料」の「1調剤基本料の施設基準」の(3)に準じて行う。

23項目もあり読むだけで大変ですが、気をつけるべき項目を簡単にまとめると次の表のようになります。

項目 要件
開局時間 平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局
備蓄品目 1,200品目以上
24時間体制 単独の保険薬局又は近隣の保険薬局と連携(連携する薬局数は3以下)
在宅業務 在宅の業務実績(1回/年以上)
その他 麻薬小売業者の免許
定期的な研修実施
インターネットを通じた情報収集と周知(医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)登録義務)
プライバシーに配慮した構造
かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出
管理薬剤師の実務経験(薬局勤務経験5年以上、同一の保険薬局に週32時間以上勤務かつ1年以上在籍)
処方せん集中率が90%を超える薬局は、後発医薬品の調剤割合が30%以上

開局時間

開局時間については「平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局」を満たす必要があります。「平日は1日8時間以上」ですから水曜午後休などは認められませんし、1日8時間以上開局している場合であっても昼休みとして一時閉局すると「特定の医療機関の診療時間にあわせている」と見なさせれて要件を満たさない可能性が高いです。

「土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局」の一定時間以上の具体的な時間については疑義解釈が出ています。

(問19)基準調剤加算の算定要件について、「土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局」とあるが、「一定時間以上」は具体的に何時間必要か。


(答)基準調剤加算の開局時間の要件は、特定の医療機関の診療時間にあわせるのでなく、地域住民のため、必要なときに調剤応需や相談等に応じられる体制を評価するために定めたものである。平日は毎日1日8時間以上の開局が必要であるが、土曜日又は日曜日の開局時間に関しては、具体的な時間数は規定しない。ただし、算定要件を満たすためだけに開局するのではなく、地域の保険医療機関や患者の需要に対応できる開局時間を確保することが必要である。

「土曜日又は日曜日の開局時間に関しては、具体的な時間数は規定しない」となっていますから、結局具体的な時間数は不明です。私の経験では、土曜日に4時間開局し基準調剤加算を算定できています。

また、祝日を含む週の開局時間についても疑義解釈が出ています。

(問18)基準調剤加算の算定要件に「当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局していること」とあるが、祝日を含む週(日曜始まり)については、「週45時間以上開局」の規定はどのように取り扱うのか。


(答)国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日並びに1月2日、3日、12月29日、12月30日及び31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断すること。

このようになっていますから、国民の祝日、振替休日、国民の休日、12月29日〜1月3日のいずれも含まない週においては必ず週45時間以上開局しておかなければなりません。

では、基準調剤加算を算定し、かつお盆休みで8月13日〜15日を閉局することは認められるのでしょうか?結論から言うと、地域によります。認められる場合もあるし、認められない場合もあります。

2016年から国民の祝日に山の日が加わりました。山の日は8月11日ですから、8月11日を含む週は「週45時間以上開局」の規定を満たす必要がありません。ですから8月13日〜15日が8月11日を含む週であれば、閉局しても構わないと考え、認められる可能性があります。

一方、8月13日〜15日が8月11日を含む週であっても「週45時間以上開局」の規定が免れるだけであり「平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局」の規定は満たさなければならないと考え、認められない可能性もあります。

備蓄品目

備蓄品目については1,200品目以上を備蓄していれば要件を満たします。ただし調剤応需できることが基準調剤加算の主旨ですから、1,200品目の錠剤を1錠ずつ備蓄しておけばよいというわけではありません。地方厚生局へ提出する備蓄品目一覧に備蓄数量を記載する必要はありませんし、備蓄数量に関する規定もありませんが、主旨に則った運用をすべきでしょう。

24時間体制

24時間体制については「単独の保険薬局又は近隣の保険薬局と連携(連携する薬局数は3以下)」となっています。24時間体制とは「患家の求めに応じて24時間調剤及び在宅業務(在宅患者に対する調剤並びに薬学的管理及び指導をいう。)が提供できる体制を整備していること」を指しており、24時間開局とは異なる概念です。

具体的な運用としては、薬局に携帯電話を1台用意し、閉局時間中はその携帯電話を薬剤師が携帯しておき患家の求めに応じて24時間調剤及び在宅業務に対応できるようにしておけばよいです。私は3年以上薬局の携帯電話を携帯していますが、日曜日の昼間に調剤のために呼び出されたことが1回あるだけです。飲み合わせや副作用についての相談の電話がかかってくることもありますが、2週間に1回程度の頻度です。

在宅業務

在宅業務については「直近1年間に在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費の算定実績を有していること」と書かれています。具体的な算定回数としては、直近1年間で1回あればよいです。以下の疑義解釈を参照してください。

(問20)基準調剤加算の算定要件について、在宅の実績は年間1回でも算定実績があれば要件を満たしていると理解してよいか。


(答)貴見のとおり。

麻薬小売業者免許

麻薬小売業者免許については取得すれば良いだけなので、難しいことは何もありません。

定期的な研修

定期的な研修については「研修実施計画を作成し、当該計画に基づき研修を実施するとともに、定期的に薬学的管理指導、医薬品の安全、医療保険等に関する外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること」となっています。社内研修でも外部研修でも構いません。基準調剤加算の申請時に、研修実施計画及び実施実績等を示す文書を添付しなければなりません。

インターネットを通じた情報収集と周知

インターネットを通じた情報収集と周知については「薬局内にコンピューターを設置するとともに、医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)に登録することにより、常に最新の医薬品緊急安全性情報、安全性速報、医薬品・医療機器等安全性情報等の医薬品情報の収集を行い、保険薬剤師に周知していること」とありますので、必ずPMDAメディナビに登録しなければなりません。登録するとPMDAメディナビ登録証明書を発行することができ、これが登録の証拠となります。

プライバシーに配慮した構造

プライバシーに配慮した構造については以下の疑義解釈を確認してください。

(問21)基準調剤加算の算定要件について「患者のプライバシーに配慮していること」とされているが、具体的にはどのような対応が必要となるのか。


(答)患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないように配慮する必要がある。具体的には、複数のカウンターがある保険薬局はその両サイドをパーテーションで区切ることが考えられる。また、カウンターと待合室との距離が短い場合は十分な距離を確保することや、会話が他の患者に聞こえないような対策をとるなど、やりとりが漏れ聞こえないような対応が必要となる。

投薬カウンターをパーテーションで区切るというのは多くの薬局で実施済みだと思いますので、特別難しい要件ではありません。

かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出

かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出については、以下の施設基準を満たした上で地方厚生局に届け出なければなりません。

[施設基準]
以下の要件を全て満たす保険薬剤師を配置していること。
(1) 以下の経験等を全て満たしていること。
ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること。
イ 当該保険薬局に週32時間以上勤務していること。
ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に6月以上在籍していること。
(2) 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。(当該規定は、平成29年4月1日から施行)
(3) 医療に係る地域活動の取組に参画していること。

つまりかかりつけ薬剤師を少なくとも1人は配置しなければならないということです。

管理薬剤師の実務経験

チェーン薬局が基準調剤加算を算定する上で、もっとも厳しいハードルが管理薬剤師の実務経験でしょう。管理薬剤師の実務経験に関する要件を以下に示します。

(7) 当該保険薬局の管理薬剤師は以下の要件を全て満たしていること。
ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験があること。
イ 当該保険薬局に週32時間以上勤務していること。
ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に1年以上在籍していること。

チェーン薬局では従業員教育や組織強化などの関係上、人材のローテーションが不可欠ですから、管理薬剤師が当該薬局に1年以上在籍していなければならない点が特に難しいでしょう。

管理薬剤師の実務経験に関する疑義解釈が出ていますので以下に示します。

(問42)保険薬局の在籍・勤務期間に関しては、施設基準の届出時点における直近の連続した在籍・勤務期間になるのか。例えば、3年前に当該保険薬局に「半年間の在籍期間」又「3年間の勤務期間」があれば、それぞれ「当該保険薬局に6月以上の在籍」又は「3年以上の薬局勤務経験」を満たすのか。


(答)届出時点における直近の連続した在籍・勤務期間が必要となる。例示のような場合は、要件を満たさない。なお、この考え方については、基準調剤加算の施設基準である、管理薬剤師の在籍・勤務期間の取扱いも同様である。

(問43)当該保険薬局の在籍・勤務期間中に、育児休暇を取得した場合、育児休暇から復帰して6月又は3年経過しないと「当該保険薬局に6月以上の在籍」「3年以上の薬局勤務経験」を満たさないのか。


(答)育児休暇の場合は、当該期間を除いた期間が6月又は3年あれば要件を満たすものとする。したがって、育児休暇前に6月以上在籍又は3年以上勤務していれば、育児休暇復帰時点でも要件を満たすことになる。なお、この考え方については、基準調剤加算の施設基準である、管理薬剤師の在籍・勤務期間の取扱いも同様である。

処方せん集中率が90%を超える薬局は、後発医薬品の調剤割合が30%以上

処方せん集中率が90%を超える薬局は、後発医薬品の調剤割合が30%以上なければなりません。
後発医薬品調剤体制加算の算定を諦めて、薬価差益を確保しようとしている薬局は注意が必要です。多くの薬局は代替調剤に真面目に取り組んでいると思われますので、それほど気にすることはないでしょう。

ただし今後後発医薬品に関する要件はますます厳しくなると予想されますので、早めに後発医薬品調剤体制加算を算定できるレベルまで引き上げておいたほうが良いでしょう。



現場の反発が大きい要件

基準調剤加算の算定要件の中で、現場の反発が最も大きいと思われるのが24時間体制です。
24時間体制にするとプライベート時間であっても、完全に心休まることはなくなります。何をしていようが、どこにいようが患者の求めがあれば薬局に出向き調剤を行わなければなりません。多くの薬剤師はこれを嫌だと感じるでしょう。

しかし薬局経営者としては、基準調剤を算定するためにはこの反発を乗り越えなければなりません。乗り越える一番簡単な方法は、初めから24時間体制にしておくことです。基準調剤加算算定の有無にかかわらず初めから24時間体制にしておけば、そこで働く従業員にとってはそれが「常識」ですから反発はありません。

それが不可能な場合は薬剤師を説得していくしかありません。
「医者の世界を見れば、オンコールで現場にかけつけるのは常識です。医療の現場に足を踏み入れるのであれば、あなたもオンコール対応をやっていくことが必要です。オンコールから逃げていると、あなたの薬剤師としての活躍の場はどんどん狭くなっていきます。」
と言うことを熱心に語っていくしかないでしょう。オンコール対応への金銭的報酬を用意できる場合は、それについてもアピールしましょう。

まとめ

基準調剤加算が薬局経営に与えるインパクトは大きく、処方せん受付回数が月2,000回の薬局では、2,000×320=640,000となり基準調剤加算を算定することで月64万円の増益となります。これだけ増益となれば勤務薬剤師の賞与を増やすこともできます。勤務薬剤師の方は基準調剤加算の算定要件クリアに積極的に取り組んでみてはどうでしょうか?その経験はきっとあなたの薬剤師レベルを一段階上げてくれるでしょう。



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