ステロイド外用薬は抗炎症作用の強さにより、5段階に分けられます。使用頻度の高い薬剤であればそのランクを把握していても、あまり使わない薬剤についてはランクを覚えておらず、ランクの一覧表で確認するのが普通です。
ここではステロイド外用薬のランクの一覧表を示します。調剤室や監査台に常備し、業務に役立てられる内容にしていますので、ぜひご活用ください。
今までのステロイド外用薬ランク一覧表の不完全性
ステロイド外用薬ランクの一覧表は、探せばインターネット上にたくさんあるのですが、どうも今ひとつしっくりくるものがありません。なぜしっくりこないか考えてみたのですが、一番の理由は網羅性のなさでした。
ステロイド外用薬には眼に使用するもの、抗菌薬が配合されたものなど様々あります。しかし巷にあるステロイド外用薬ランク一覧表には、眼科用剤や配合剤が記載されていません。一覧表としてはそれらの薬剤を記載しなくても体裁が整うのかもしれませんが、実際に現場で活用するとなると、それらの薬剤まできちんと記載されているものでないと困るというのが実感です。
「ゲンタマイシンではなくフラジオマイシンが配合されたステロイド外用薬はどれだっけ?」「サンテゾーン眼軟膏とプレドニン眼軟膏はどっちが効果が強いんだっけ?」といった疑問に即答できてこその一覧表だと思うのですが、そういう情報が網羅された一覧表は今までありませんでした。
そこで現場で一覧表を活用するため、眼科用剤や配合剤まで網羅した一覧表を作成しました。
ステロイド外用薬ランク一覧表
ステロイド外用薬ランク一覧表を以下に示します。ステロイド含有の口腔用剤、痔疾用剤、眼科用剤も一覧表に含めています。配合剤については、配合成分を併記してあります。各薬剤のランク、配合成分の比較のためにお役立てください。
一覧表は、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」を元に作成しています。表中の「ウィーク相当と考えられる」薬品については、他のホームページなどから情報収集しましたが、それらは信用度の高い情報源ではありません。
なお、坐剤、貼付剤は一覧表に含めていません。比較しやすいよう、口腔用剤は青、痔疾用剤は赤、眼科用剤は緑で色分けしています。
一般名 | 代表的な商品名 | その他の配合成分 |
---|---|---|
ストロンゲスト | ||
クロベタゾールプロピオン酸エステル(0.05%) | デルモベート軟膏 | |
コムクロシャンプー | ||
ジフロラゾン酢酸エステル(0.05%) | ジフラール軟膏 | |
ダイアコート軟膏 | ||
ベリーストロング | ||
モメタゾンフランカルボン酸エステル(0.1%) | フルメタ軟膏 | |
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(0.05%) | アンテベート軟膏 | |
マーデュオックス軟膏 | マキサカルシトール(0.0025%) | |
フルオシノニド(0.05%) | トプシム軟膏 | |
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(0.064%) | リンデロンDP軟膏 | |
ドボベット軟膏 | カルシポトリオール(0.005%) | |
ジフルプレドナート(0.05%) | マイザー軟膏 | |
アムシノニド(0.1%) | ビスダーム軟膏 | |
吉草酸ジフルコルトロン(商品により濃度異なる) | テクスメテン軟膏(0.1%) | |
ネリゾナ軟膏(0.1%) | ||
ネリプロクト軟膏(0.01%) | リドカイン(2%) | |
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(0.1%) | パンデル軟膏 | |
ストロング | ||
デプロドンプロピオン酸エステル(0.3%) | エクラー軟膏 | |
プロピオン酸デキサメタゾン(0.1%) | メサデルム軟膏 | |
デキサメタゾン吉草酸エステル(0.12%) | ボアラ軟膏 | |
ザルックス軟膏 | ||
ベタメタゾン吉草酸エステル(0.12%) | ベトネベート軟膏 | |
ベトネベートN軟膏 | フラジオマイシン硫酸塩(0.35%) | |
リンデロンV軟膏 | ||
リンデロンVG軟膏 | ゲンタマイシン硫酸塩(0.1%) | |
フルオシノロンアセトニド(商品により濃度異なる) | フルコート軟膏(0.025%) | |
フルコートF軟膏(0.025%) | フラジオマイシン硫酸塩(0.35%) | |
フルコートスプレー(0.007%) | ||
フルコート外用液(0.01%) | ||
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(0.025%) | ベクラシン軟膏 | |
ミディアム | ||
吉草酸酢酸プレドニゾロン(0.3%) | リドメックスコーワ軟膏 | |
トリアムシノロンアセトニド(0.1%) | レダコート軟膏 | |
ケナログ口腔用軟膏 | ||
アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(0.1%) | アルメタ軟膏 | |
クロベタゾン酪酸エステル(0.05%) | キンダベート軟膏 | |
ヒドロコルチゾン酪酸エステル(0.1%) | ロコイド軟膏 | |
デキサメタゾン(商品により濃度異なる) | グリメサゾン軟膏(0.1%) | グリテール(0.2%) |
オイラゾンクリーム(0.1%または0.05%) | ||
デキサルチン口腔用軟膏(0.1%) | ||
D・E・X眼軟膏(0.1%) | ||
サンテゾーン眼軟膏(0.05%) | ||
ウィーク | ||
プレドニゾロン(商品により濃度異なる) | プレドニゾロン軟膏(0.5%) | |
エアゾリンD1(0.088%) | フラジオマイシン硫酸塩(0.088%) | |
クロマイP軟膏(0.3%) | クロラムフェニコール(2%) フラジオマイシン硫酸塩(0.5%) |
|
ウィーク相当と考えられる(信用度の高い情報源なし) | ||
ヒドロコルチゾン(商品により濃度異なる) | テラ・コートリル軟膏(1%) | オキシテトラサイクリン塩酸塩(3%) |
オイラックスHクリーム(0.25%) | クロタミトン(10%) | |
エキザルベ(0.25%) | 混合死菌浮遊液 | |
プロクトセティル軟膏(0.5%) | フラジオマイシン硫酸塩(0.71%) ジブカイン塩酸塩(0.5%) エスクロシド(1%) |
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強力ポステリザン軟膏(0.25%) | 大腸菌死菌浮遊液 | |
ヒドロコルチゾン酢酸エステル(商品により濃度異なる) | 強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏(1%) | フラジオマイシン硫酸塩(0.35%) ジフェンヒドラミン塩酸塩(0.1%) |
デスパコーワ口腔用クリーム(0.5%) | クロルヘキシジン塩酸塩(0.3%) ジフェンヒドラミンサリチル酸塩(0.1%) 濃ベンザルコニウム塩化物液50(0.04%) |
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ヒノポロン口腔用軟膏(0.5%) | ヒノキチオール(0.1%) アミノ安息香酸エチル(1.5%) |
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メチルプレドニゾロン(0.1%) | ネオメドロールEE軟膏 | フラジオマイシン硫酸塩(0.35%) |
プレドニゾロン酢酸エステル(0.25%) | プレドニン眼軟膏 | |
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(0.1%) | 眼・耳科用リンデロンA軟膏 | フラジオマイシン硫酸塩(0.35%) |
恥ずかしながら、私は各痔疾用剤のランク、配合成分が頭の中で整理されていなかったのですが、一覧表にしてみるとそれらの相違点がはっきりと理解できます。濃度は低いですが、ネリプロクト軟膏に配合されたステロイドはベリーストロングクラスだったのですね。
現場での使用に耐えうる一覧表ができたと思っています。みなさんの働く現場でこの一覧表をご活用いだたければ幸いです。