薬剤師による調剤薬局の仕事解説

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内服薬調剤料の完全解説

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調剤料の計算は通常レセコンに任せておけば良いのですが、内服薬調剤料の計算はレセコン任せではうまくいかないことが結構あります。内服調剤料の正しい算定を知ることは薬局業務を進める上で重要です。

ここでは内服薬調剤料について、処方例をあげて具体的に解説します。



内服薬調剤料の基本

まずはじめに、ここで解説する内服薬調剤料とは、浸煎薬、湯薬、内服用滴剤以外の内服薬についての調剤料です。浸煎薬、湯薬、内服用滴剤についての調剤料は別に定められていますので、ここでは解説しません。

内服薬調剤料は処方日数によって点数が変わる

内服薬調剤料は処方日数によって点数が変わります。処方日数が長くなるにつれて点数が高くなりますが、青天井ではありせん。下の表をご覧ください。

14日分以下の場合(1〜7日目の部分) 5点/1日分
14日分以下の場合(8〜14日目の部分) 4点/1日分
15〜21日分の場合 70点
22〜30日分の場合 80点
31日分以上の場合 87点
表を見て分かるように、内服薬調剤料は31日分で頭打ちとなります。

内服薬調剤料は1剤ごとに算定する

内服薬調剤料は「剤」という単位ごとに算定します。「剤」とは「服用時点ごとのまとまり」です。つまり、毎食後とか就寝前とかの用法ごとのまとまりです。
例えば

ノルバスク錠5mg 1錠
分1 朝食後 30日分
ディオバン錠80mg 1錠
分1 夕食後 30日分
という処方があれば、「朝食後」、「夕食後」という服用時点ごとのまとまりが2つありますから2剤と数えます。

また、

服用時点が同一である薬剤については、投与日数にかかわらず1剤として算定する。

という決まりがありますから、

ノルバスク錠5mg 1錠
分1 朝食後 30日分
ディオバン錠80mg 1錠
分1 朝食後 15日分
という処方があれば、1剤として数えます。

つまり剤数を数える上で処方日数は全く関係なく、服用時点が同一か否かということのみに着目すればよいということです。

内服薬調剤料は3剤まで算定できる

内服薬調剤料は

4剤分以上の部分については、算定しない。

という決まりがあり、最大で3剤までしか算定できません。4剤以上ある場合、どの3剤で内服薬調剤料を算定するかは自由です。なるべく点数が高くなるように算定するのが一般的です。(通常、なるべく点数が高くなるようにレセコンが自動算定してくれます。)


処方例で学ぶ内服薬調剤料

内服薬調剤料の基本を学びましたので、ここからは具体的な処方例をあげながら解説します。

処方例1

<処方例1>
ボナロン錠35mg 1錠
分1 起床時(週1回服用) 4日分
処方例1は何日分の内服薬調剤料を算定できるでしょうか?正解は4日分です。次のようなルールがあるためです。

隔日投与等投与しない日がある処方に係る内服薬の調剤料は、実際の投与日数により算定する。

処方例1は週1回の服用なので4日分の処方で28日分になるのですが、調剤料は「実際に服用する日数分」しか算定できませんので4日分で算定します。隔日服用でも同様です。14日分(隔日服用)であれば28日分になりますが、調剤料は14日分で算定します。

処方例2

<処方例2>
ノルバスク錠5mg 1錠
分1 朝食後 14日分
ノルバスク錠2.5mg 1錠
分1 夕食後 14日分
処方例2では内服調剤料は何剤算定できるでしょうか?正解は1剤です。次のようなルールがあるためです。

同一有効成分であって同一剤形の薬剤が複数ある場合は、その数にかかわらず1剤として算定する。

したがって処方例2では1剤(14日分)の調剤料を算定します。レセコンへは次のように入力します。

ノルバスク錠5mg 1錠(不均等1-0)
ノルバスク錠2.5mg 1錠(不均等0-1)
分2 朝夕食後 14日分

処方例3

<処方例3>
ノルバスク錠5mg 1錠
分1 朝食後 14日分
ノルバスクOD錠2.5mg 1錠
分1 夕食後 14日分
処方例3では内服調剤料は何剤算定できるでしょうか?正解は2剤です。

処方例2と処方例3はほとんど同じですが、ノルバスク錠2.5mgかノルバスクOD錠2.5mgかという部分のみ異なります。これだけの違いで剤数が変わります。なぜそうなるのか、根拠となる疑義解釈資料を以下に示します。

(問2)内服薬と外用薬の調剤料の取扱いについて、同一の有効成分であって同一剤形の薬剤が複数ある場合は、その数にかかわらず1剤(1調剤)とされているが、「同一剤形」の範囲はどのように考えたらよいか。

(答)下記の剤形については、それぞれ別剤形として取り扱う。
○内用薬
錠剤、口腔内崩壊錠、分散錠、粒状錠、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、経口ゼリー剤、チュアブル、バッカル、舌下錠
○外用薬
軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、スプレー剤、ゼリー、パウダー剤、ゲル剤、吸入粉末剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤、点眼剤、眼軟膏、点鼻剤、点耳剤、耳鼻科用吸入剤・噴霧剤、パップ剤、貼付剤、テープ剤、硬膏剤、坐剤、膣剤、注腸剤、口嗽剤、トローチ剤
(参考:「薬価算定の基準について」(平成28年2月10日保発0210第1号)の別表1)
なお、本取扱いは、内服薬と外用薬に係る調剤料における考え方であり、例えば、調剤時の後発医薬品への変更に関する剤形の範囲の取扱いとは異なることに留意すること。

処方例2で見たように「同一有効成分であって同一剤形の薬剤が複数ある場合は、その数にかかわらず1剤として算定する」のですが、錠剤と口腔内崩壊錠は別剤形として取扱います。したがって処方例3では2剤となります。

この疑義解釈資料では外用薬調剤料についても言及されています。外用薬の調剤料について詳しくは以下の記事をご覧ください。

処方例4

<処方例4>
リウマトレックスカプセル2mg 2cap
分2 朝夕食後 4日分 (毎週木曜日に服用)
リウマトレックスカプセル2mg 1cap
分1 朝食後 4日分 (毎週金曜日に服用)
処方例4は、処方例1、処方例2の発展系です。処方例4では調剤料は1剤(8日分)として計算します。

処方例4-1のような処方であれば3剤(8日分、28日分、28日分)として計算します。

<処方例4-1>
リウマトレックスカプセル2mg 2cap
分2 朝夕食後 4日分 (毎週木曜日に服用)
リウマトレックスカプセル2mg 1cap
分1 朝食後 4日分 (毎週金曜日に服用)
プレドニゾロン錠1mg 1錠
分1 朝食後 28日分
ガスター錠20mg 2錠
分2 朝夕食後 28日分
処方例4-1ではリウマトレックスで1剤(8日分)として算定します。リウマトレックスは用法が特殊であり、通常の剤の区分で整理できません。そのため「例外的な1剤」として扱います。部分的に他薬と同一用法になっていたとしても、別剤として算定します。保険調剤Q&Aの詳しい解説を以下に示します。

リウマトレックスは、メトトレキサートを2mg含有する抗リウマチ薬です。添付文書によると「通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、本剤1カプセル(メトトレキサートとして2mg)を初日から2日目にかけて12時間間隔で3回経口投与し、残り5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す」とされており、従来の服用方法とは異なる医薬品であることがわかります。
そのため、食事を目安とした服用時点(=剤)により区分しようとしても、例えば「分2朝夕食後(毎月曜日)」と「分1朝食後(毎火曜日)」のように指示しなければならないため、同じ医薬品を一定間隔で連続して服用するだけなのに、従来の剤の区分で整理することができません。つまり、リウマトレックスのような特殊な服用方法の医薬品については、無理に通常の剤により区分するのではなく、例外的な1剤の調剤料として解釈せざるをえないと考えます。

処方例5

<処方例5>
セイブル錠50mg 3錠
分3 毎食直前 14日分
キネダック錠50mg 3錠
分3 毎食前 14日分
処方例5は1剤です。レセプトでは食前・食直前、食後・食直後はそれぞれ同一服用時点として扱います。詳しいルールを以下に示します。

「服用時点が同一である」とは、2種類以上の薬剤について服用日1日を通じて服用時点(例えば「朝食後、夕食後服用」、「1日3回食後服用」、「就寝前服用」、「6時間毎服用」等)が同一であることをいう。また、食事を目安とする服用時点については、食前、食後及び食間の3区分とすることとし、服用時点が「食直前」、「食前30分」等であっても、調剤料の算定にあっては、「食前」とみなし、1剤として扱う。

処方例6

<処方例6>
①アリセプトD錠3mg 1錠
1日1回 朝食後 14日分
②アリセプトD錠5mg 1錠
1日1回 朝食後 14日分
①→②の順に服用
処方例6では1剤(28日分)として算定します。①、②は同時服用ではなく、合わせて28日分ですから、28日分として算定します。

処方例7

<処方例7>
①パリエット錠10mg 1錠
1日1回 就寝前 14日分
②ガスター錠20mg 1錠
1日1回 就寝前 14日分
①→②の順に服用
処方例7では2剤(各14日分)として算定します。1剤(14日分)や1剤(28日分)ではありません。

服用時点が同一なので1剤として算定してしまいそうになりますが、①→②の順に服用であり、服用するタイミングが異なりますので別剤として算定できます。

詳しい解説を保険調剤Q&Aから引用して以下に示します。

従来は、同時に服用するか否かに関係なく、服用時点(用法)が同一であるごとに1剤として算定するよう取り扱われていましたが、現在は、服用するタイミングが異なれば別剤として算定して構いません。
内服薬の調剤料は、医薬品の種類数に関係なく、服用時点(用法)が同一であるものごとに「1剤」として算定します。(中略)現在は、服用時点が同一の内服薬であっても、服用するタイミングが異なれば別剤として取り扱えることになっています(ただし、同一成分の医薬品を用量変化させながら服用するようなケースは除きます)。

処方例8

<処方例8>
アレジオン錠10mg 1錠
キプレスチュアブル錠5mg 1錠
分1 就寝前 14日分
処方例8では2剤(各14日分)として算定します。用法は同一ですが、錠剤とチュアブル錠は別剤として計算します。詳しいルールは次の通りです。

次の場合は、それぞれを別剤として算定できる。
① 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合
② 内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合
③ 内服錠とチュアブル錠又は舌下錠等のように服用方法が異なる場合

チュアブル錠は噛み砕いて服用する錠剤であり、内服錠とは服用方法が異なると見なされます。

処方例9

<処方例9>
アジルバ錠20mg 1錠
ノルバスクOD錠5mg 1錠
分1 朝食後 14日分
処方例9では1剤(14日分)として計算します。普通錠とOD錠は服用方法が異なるため、処方例8のように別剤として算定できるように思えるかもしれませんが、普通錠とOD錠の場合は服用方法が異なるとは見なされません。

詳しい解説を保険調剤Q&Aから引用します。

口腔内崩壊錠については、「水なしでも服用できる」とされている錠剤ですが、通常の錠剤と同様に、水またはぬるま湯で服用することも可能です。そのため、口腔内崩壊錠と普通の固形剤を同時に服用するような処方内容(すなわち、同一の服用時点)の場合には、わざわざ口腔内崩壊錠だけを別剤として算定する必要性があるとは考えにくいことから、同一の服用時点であれば「1剤」として解釈するのが妥当でしょう。

処方例10

<処方例10>
アスベリン散10% 0.3g
ムコダインシロップ5% 9mL
分3 毎食後 5日分
処方例10では2剤(各5日分)として計算します。処方例8で示したルールに書いてあるように、「内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合」は別剤として算定できます。

処方例11

<処方例11>
アスベリン散10% 0.3g
ムコダインDS50% 0.9g
分3 毎食後 5日分
処方例11では、調剤方法により内服薬調剤料を算定できる剤数が変わります。ムコダインDSを散剤として交付した場合、1剤(5日分)です。ムコダインDSを液剤として交付した場合、2剤(各5日分)です。

なぜそのようになるのか。それは次のようなルールがあるからです。

ドライシロップ剤を投与する場合において、調剤の際に溶解し、液剤(シロップ剤)にして患者に投与するときは内服用液剤として算定し、散剤としてそのまま投与するときは内服用固形剤として算定する。

ドライシロップ剤を内服用液剤と内服用固形剤のどちらとして扱うかは、調剤方法によって決まるということです。液剤として交付する場合、処方例10と同様に別剤として算定できますので2剤となります。

処方例12

<処方例12>
ポンタールシロップ3.25% 10mL
ムコダインシロップ5% 10mL
分3 毎食後 5日分
処方例12では2剤(各5日分)として計算します。ポンタールシロップとムコダインシロップは配合不適のため、混合して交付することができません。処方例8で示したルールに書いてあるように、「配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合」は別剤として算定できます。

処方例13

<処方例13>
ウルソ錠100mg 3錠
ラグノスゼリー分包16.05g 3包
分3 毎食後 14日分
処方例13では2剤(各14日分)として計算します。ゼリー剤は液剤ではありませんが、内服用固形剤でもないため、内服用液剤と同様のものとして取り扱ってよいことになっています。



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