麻薬を調剤し、要件を満たした指導を行うと麻薬管理指導加算を算定できます。
麻薬管理指導加算の算定のためには、服薬指導後のフォローが必要です。しかし要件を満たすフォローができておらず、不適切算定となっているケースがかなり多いのではないかと予想します。
この記事では麻薬管理指導加算について解説します。適正運用の一助となれば幸いです。
麻薬管理指導加算とは
麻薬管理指導加算について、「調剤報酬点数表」および「調剤報酬点数表に関する事項」には次のように記載されています。
麻薬を調剤した場合であって、麻薬の服用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときは、22点を所定点数に加算する。
麻薬管理指導加算
ア 麻薬管理指導加算は、当該患者又はその家族等に対して、電話等により定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。
イ 指導の要点は、薬剤服用歴の記録に記載する。
麻薬管理指導加算の具体的な算定要件を赤字にしています。
つまり、麻薬が処方された患者に対し、麻薬の服用状況、残薬、保管状況、鎮痛効果、副作用についての確認および必要な指導を、電話などで定期的に行うと麻薬管理指導加算22点が算定できます。
麻薬管理指導加算と混同しやすい点数として、「麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬加算」があります。「麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬加算」は麻薬が処方されていれば自動的に算定できる点数であり、麻薬管理指導加算とは全く別物です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
麻薬管理指導加算の算定要件を詳しくチェック
ここからは麻薬管理指導加算の算定要件を詳しく見ていきます。
定期的な確認および指導
麻薬管理指導加算が他の加算と大きく異なるのは、服薬指導が終了した時点で算定の可否が決定しないということです。
他の加算の場合、服薬指導が終了した時点で算定要件を満たしていれば算定できるし、満たしていなければ算定できないという単純なシステムです。(薬歴への記載は当然行うものとしています。)
しかし、麻薬管理指導加算の場合、服薬指導が終了した時点では算定要件を満たすか否かを判断できません。麻薬管理指導加算の算定要件は、麻薬に関して定期的に確認および指導を行うことですから、服薬指導後に電話などで経過をフォローして初めて算定要件を満たします。
服薬指導終了時点では算定要件を満たすか否かを判断できませんが、算定は可能です。算定した場合は、定期的に電話などでフォローしなければなりません。
ですから、基本的には服薬指導時に「◯月◯日◯時ごろお電話させていただきますから、よろしくお願いします」と患者と約束することになります。約束できない場合(電話を嫌がる、多忙のため電話に出られないなど)、定期的なフォローは難しいですから、麻薬管理指導加算を算定しないようにした方が良いでしょう。
麻薬管理指導加算を算定したにもかかわらず、定期的なフォローができなかった場合は、麻薬管理指導加算の算定を取り消して返金することになります。
定期的とはどの程度の頻度か
ここで「定期的」とは具体的にどの程度の頻度なのかを考えてみます。これに関しては疑義解釈資料などもありませんので、推測するしかありません。
麻薬管理指導加算は、服薬指導とは別に電話などでのフォローを行うことで算定要件を満たす加算です。少なくとも、麻薬の投与日数の半分が経過したくらいのところで電話などでのフォローを行う必要があります。
したがって麻薬の投与日数制限が最大30日であることを考えると、少なくとも2週間に1度程度のフォローは必要だと考えられます。
ただし、2週間に1度というのはあくまで最低限の頻度です。個別指導などで、より高い頻度でフォローするよう指導されることも十分考えられます。
服用状況、残薬、保管状況、鎮痛効果、副作用などの確認および指導
電話などでのフォローでは、麻薬の服用状況、残薬、保管状況、鎮痛効果、副作用について確認及び指導を行います。
治療日記のようなものを予め交付しておき、それに服用状況、副作用、鎮痛効果などを記入してもらうと、電話でのフォローがスムーズになります。例えばオキシコンチンの治療日記は以下のサイトからダウンロードするか、MRに依頼することで入手可能です。
患者さん指導ツール シオノギ製薬
また、不要になった麻薬については医療機関、薬局に返却するよう指導を行うことも必要です。
まとめ
麻薬管理指導加算について解説しました。算定要件が特殊ですので、不適切算定となりやすい加算です。算定要件を十分理解し、適正運用のためのルールを薬局内で作っておくことが大切でしょう。