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薬剤師による調剤薬局の仕事解説

事務仕事から人材育成まで、調剤薬局の仕事すべてを管理薬剤師が解説します。

インターネット情報だけでライバル薬局の利益を推測する方法

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ライバル薬局がどれくらい儲かっているのか知りたいと思うことはありませんか?ライバル薬局の動向を知れば、あなたの薬局がとるべき戦略が見えてくることもあるでしょう。

実は薬局の様々な情報はインターネットで公表されており、それを利用することでライバル薬局の経営状態を推察することが可能です。ここでは、インターネット情報だけでライバル薬局の利益を推測する方法を紹介します。


薬局情報はどこで公表されているか

薬局情報を公表しているサイトはふたつあります。ひとつは地方厚生局のホームページ。もうひとつは都道府県が運営する薬局機能情報掲載ページです。

届出受理医療機関名簿

各地方厚生局は「届出受理医療機関名簿」というものを公表しています。届出受理医療機関名簿には調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算、かかりつけ薬剤師などの施設基準の届出受理状況が一覧で記載されています。

各地方厚生局の届出受理医療機関名簿は以下のリンクからご覧ください。

届出受理医療機関名簿の使い方の例として、神奈川県で調剤基本料の特例除外を達成した薬局がいくつあるかを調べてみます。

関東信越厚生局のリンクから神奈川県の届出受理医療機関名簿を開き、「調基特」という語句でファイル内を検索してください。(平性29年3月1日現在のところ)5件ヒットしたはずです。つまり神奈川県には調剤基本料の特例除外を達成した薬局が5つあるということがわかります。算定開始年月日が記載されているので、一番最初に特例除外した薬局がどこかということも分かります。神奈川県で一番最初に特例除外を達成した薬局は日本調剤浦舟薬局です。平成28年9月1日から調基特1を算定しています。

ちなみに「調基特1」とは「特例除外による調剤基本料1」を意味します。単に調剤基本料1を算定している場合は「調基1」と記載されます。

調剤基本料についての詳しい解説は以下の記事をご覧ください。

薬局機能情報掲載ページ

各都道府県は薬局機能情報掲載ページを運営しています。ホームページの名称は都道府県ごとに異なります。各都道府県の薬局機能情報掲載ページへは以下のリンクからどうぞ。

薬局機能情報掲載ページには薬局に関する様々な情報が記載されています。そのうち、薬局の利益、売上を推測するために役立ちそうなものは、薬局の薬剤師数、処方箋を応需した患者数です。

例として先ほどの日本調剤浦舟薬局の情報を見てみましょう。かながわ医療情報検索サービスによると、日本調剤浦舟薬局には常勤薬剤師6人、非常勤薬剤師8人、常勤換算10人の薬剤師が勤務しています。2016年の患者数は97,576人です。

インターネット情報だけで日本調剤浦舟薬局の利益を推察してみる

ここまで得られた届出受理医療機関名簿、薬局機能情報掲載ページの情報を用いて、実際に薬局の売上、利益を推察してみます。例として先ほどから登場している日本調剤浦舟薬局を使います。

薬局機能情報掲載ページによると、日本調剤浦舟薬局は特例除外により調剤基本料1を算定しています。また後発医薬品調剤体制加算2、基準調剤加算を算定しています。かながわ医療情報検索サービスによると、勤務薬剤師数は常勤換算10人、年間取扱処方せん枚数≒受付回数≒患者数=97,576です。

グーグルマップで調べてみると、日本調剤浦舟薬局は横浜市立大学附属市民総合医療センター(以下、市大センター病院)の門前薬局だということがわかります。日本調剤浦舟薬局で取り扱う処方せんはすべて市大センター病院発行のものと仮定します。

これだけ情報が揃えば利益を推察することができます。処方せん単価、給料、家賃などは以下の記事のものを使用します。

大学病院の処方せん1枚あたりの粗利益は6,423円ですから、市大センター病院の処方せんも同等と考えて良いでしょう。ただし、6,423円とは平均な薬局の場合の粗利益です。上の記事のとおり、平均的な薬局とは調剤基本料1、後発医薬品調剤体制加算1を算定し、基準調剤加算を算定していない薬局ですから、平均的な薬局の調剤基本料は590円です。

410円(調剤基本料1)+180円(後発医薬品調剤体制加算1)=590円
一方、日本調剤浦舟薬局は調剤基本料1、後発医薬品調剤体制加算2、基準調剤加算を算定していますから、調剤基本料は950円です。
410円(調剤基本料1)+220円(後発医薬品調剤体制加算2)+320円(基準調剤加算)=950円
ですから、日本調剤浦舟薬局は平均的な薬局より、処方せん1枚あたりの粗利益は360円多く、6,783円と考えられます。
950円-590円=360円
6,423円(平均的な薬局の1枚あたり粗利益)+360円=6,783円
では、日本調剤浦舟薬局の1ヶ月の利益を算出していきます。
[1ヶ月の粗利益]
(97,576枚÷12)×6,783円=55,154,834円

[1ヶ月の経費]
人件費:(650,000円+450,000円×9+250,000円×4(医療事務4人と仮定))×1.15=6,555,000円
家賃:1,000,000円
その他経費:400,000円
総経費:6,555,000円+1,000,000円+400,000円=7,955,000円

[1ヶ月の営業利益]
55,154,834円-7,955,000円=47,199,834円(約4,720万円)

なんと1ヶ月の利益が4,720万円にも上ることが分かりました。大黒字の薬局ですね。さすがは天下の日本調剤です。

日本調剤浦舟薬局への対抗策を考える

では次に、日本調剤浦舟薬局のライバル薬局の立場として考えてみましょう。ライバル薬局はどのような戦略を取るとよいでしょうか?

考えられるのは待ち時間の短さをアピールしていく戦略です。日本調剤浦舟薬局は月間枚数約8,000枚を薬剤師10人で処理するという、少数精鋭体制です。薬剤師1人の1日あたり処方せん処理枚数は約40枚であり、薬剤師の業務は過密状態ですが、調剤基本料の特例除外を維持するため、少数精鋭体制を崩すことは難しいと考えられます。これについて詳しくは以下の記事を参照してください。

少数精鋭体制に加えて、かかりつけ薬剤師の同意を得るための活動をしなければなりませんから、日本調剤浦舟薬局の待ち時間は長くなっていると推察されます。

そこでライバル薬局としては待ち時間の短さをアピールすることで、待ち時間の長さにうんざりした患者を獲得できると考えられます。具体的にはクラフトが行っているような「3薬品まで待ち時間10分以内」というようなアピールをすると良いでしょう。

おまけ

地方厚生局のサイトから届出受理医療機関名簿を見ることで薬局の情報が分かると説明しましたが、実は47都道府県のデータを一つにまとめてデータベース化してくれているサイトがあります。こちらです。株式会社ケアレビューという会社が運営しており、全都道府県のデータを横断的に検索できるので便利なのですが、薬局名が一部伏せ字になっているため、このデータをそのまま集計に利用するのは難しいです。お好みでこちらのサイトも利用してみてください。




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