薬剤師による調剤薬局の仕事解説

事務仕事から人材育成まで、調剤薬局の仕事すべてを管理薬剤師が解説します。

加齢黄斑変性とオキュバイトについての解説

f:id:chouzai:20170919000927j:plain
加齢黄斑変性という病気をご存知でしょうか?

加齢黄斑変性はありふれた病気なので、薬剤師経験の長い方はもちろんご存知だと思います。しかし治療薬が処方されることはないため、薬剤師経験の短い方にはあまりなじみのない病気かもしれません。

薬局で働いていると「加齢黄斑変性に効くサプリメントをください」という患者がときどき来ます。そのようなときに困らないよう、この記事で加齢黄斑変性とサプリンメント(オキュバイト)について解説しますので、読んでいただければと思います。



加齢黄斑変性とは


(画像は参天メディカルチャネルより)

f:id:chouzai:20170919002703j:plain
加齢黄斑変性とは、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ視力が低下する病気です。欧米では加齢黄斑変性が成人の失明原因の第1位となっています。日本においても高齢化と生活の欧米化により、患者数が著しく増加しており、加齢黄斑変性が失明原因の第4位となっています。

加齢黄斑変性には、細胞の組織が徐々に萎縮する「萎縮型」と脈絡膜新生血管を伴う「滲出型」があります。萎縮型の加齢黄斑変性には現在のところ治療方法はありませんが、滲出型の加齢黄斑変性にはいくつかの治療法があります。

滲出型加齢黄斑変性の治療法

滲出型加齢黄斑変性では、異常な血管(脈絡膜新生血管)が網膜色素上皮細胞の下や上に侵入することで網膜が障害されます。異常な血管は正常の血管と異なり、血液の成分を漏出させたり、血管が破れたりします。

滲出型加齢黄斑変性の治療として主に抗VEGF療法、光線力学的療法(PDT)、レーザー光凝固療法などが行われています。治療により視力が良くなることもありますが、視力が正常になることはほとんどありません。

各治療法については、日本眼科学会ホームページから引用します。

抗VEGF療法

脈絡膜新生血管の発生には血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が関係していると考えられており、VEGFを阻害することにより脈絡膜新生血管を退縮させる治療法です。

現在認可されているVEGF阻害薬にはマクジェン®、ルセンティス®、アイリーア®という3種類の薬があり、いずれも目の中(硝子体腔)に6週あるいは4週ごとに2~3回注射します。その後は定期的に診察をして、脈絡膜新生血管の活動性がみられれば、再度注射を行います。

次に述べる光線力学的療法と組み合わせて治療を行うことがあります。

抗VEGF療法を行う際は、合併症予防のため抗菌薬の点眼薬が処方されることがしばしばあります。例えば次のような処方です。

<処方例>
ベガモックス点眼液0.5% 5mL
1日4回 注射の前日、当日、翌日に点眼
このような処方せんを受けたら、加齢黄斑変性で抗VEGF療法を行っているのかもしれない、と気づくことができます。

光線力学的療法(PDT)

ビスダイン®という光感受性物質を点滴し、その後に非常に弱い出力の専用のレーザーを病変に照射する治療法です。治療を行う前に造影検査を行い、脈絡膜新生血管をはじめとする病変を確認して、病変の大きさに合わせてレーザーの照射範囲を決定します。

治療後48時間は強い光に当たることに注意する必要があります。治療後48時間以内に強い光に当たると光過敏症などの合併症が起こることがあるので注意が必要です。

光線力学的療法は必ずしも一度で終了するとは限りません。治療のためには専用のレーザー装置が必要であり、眼科PDTの認定医が行う必要があります。

レーザー光凝固療法

脈絡膜新生血管が黄斑の中心から離れた場所にある場合には強い出力のレーザー光線で病変を凝固し、破壊することがあります。

病変が黄斑の中心に及んでいる場合にレーザー凝固すると黄斑も障害されることになり、著しい視力低下になりますので、レーザー凝固を行うことはほとんどありません。



加齢黄斑変性の予防のために

日本眼科学会ホームページには加齢黄斑変性の予防のためにやるべきことも記載されていますので引用します。

(1)禁煙
喫煙している人はしていない人に比べて加齢黄斑変性になる危険性が高いことが分かっています。喫煙している人には禁煙が勧められます。
(2)サプリメント
ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、亜鉛などを含んだサプリメントを飲むと加齢黄斑変性の発症が少なくなることが分かっています。加齢黄斑変性の発症が少なくなりますが、完全に抑えることはできません。加齢黄斑変性になっていない人にも勧められますが、一方の目に加齢黄斑変性が発症した人にはサプリメントの内服が強く勧められます。
(3)食事
緑黄色野菜はサプリメントと同様に加齢黄斑変性の発症を抑えると考えられています。肉中心の食事より、魚中心の食事のほうがよいようです。

加齢黄斑変性の予防には禁煙、サプリメント、食事という三つの要素があります。では、サプリメントとは具体的に何の商品を指しているかご存知でしょうか?事項ではこの点について解説します。

オキュバイトの解説

加齢黄斑変性の予防のために摂取が勧められるサプリメントとは、「オキュバイト」です。オキュバイトにはいくつかの製品があるのですが、その中でも「オキュバイトプリザービジョン2」の摂取が勧められます。

オキュバイトプリザービジョン2の栄養成分は次のようになっています。
栄養成分 含有量(3粒あたり)
ルテイン 10mg
ゼアキサンチン 2mg
ビタミンC 408mg
ビタミンE 242mg
亜鉛 30mg
1.5mg
この栄養成分の配合はAREDS2処方と呼ばれるものです。AREDS2とは、アメリカで行われた加齢黄斑変性に関する研究の名称です。AREDS2研究グループは、加齢黄斑変性(AMD)の予防のために次のようなサプリメントを推奨すると発表しています。

AMD用抗酸化サプリメントの1日推奨量
・酸化亜鉛 80 mg (酢酸亜鉛のような他のタイプでも25 mgの低用量であれば可能)
・酸化第二銅 2 mg (亜鉛によって引き起こされる銅の欠乏症を相殺するために)
・ビタミンC 500 mg
・ビタミンE 400 IU(国際単位) (これより高い用量は摂取しないこと)
・ルテイン 10 mg (これより高い用量も可能)
・ゼアキサンチン 2 mg (これより高い用量も可能)

AREDS2研究グループの推奨量と、オキュバイトプリザービジョン2の配合量を見比べてください。オキュバイトプリザービジョン2がAREDS2処方をほぼ忠実に再現しているのが分かっていただけると思います。

ですから、「加齢黄斑変性に効くサプリメントをください」という人にはオキュバイトプリザービジョン2を販売すればよいのです。

オキュバイトは医薬品ではありません

最後にひとつ大切な注意点です。オキュバイトプリザービジョン2を含め、オキュバイトシリーズはすべて食品であり、医薬品ではありません。したがって効能効果を謳うことはできません。

「加齢黄斑変性に効くサプリメントをください」という人にオキュバイトプリザービジョン2を販売することはできますが、「加齢黄斑変性に効きますよ」と言ってオキュバイトプリザービジョン2を販売することはできません。



※当サイト上の記載内容に関し、いかなる保証をするものでもありません。当サイト上の記載内容に誤りおよび記載内容に基づいて被った被害については、当サイトは一切責任を負いかねます。