薬剤師による調剤薬局の仕事解説

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後発医薬品調剤体制加算を算定するためにやるべきこと

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薬局での後発医薬品の調剤割合が一定の値を超えると、その薬局は後発医薬品調剤体制加算を算定できます。
算定のハードルは診療報酬が改定されるたびに高くなっていますが、本気で取り組めば多くの薬局で算定できます。

ここでは、後発医薬品調剤体制加算の算定のためにやるべきことをまとめます。



後発医薬品調剤体制加算の算定要件

はじめに後発医薬品調剤体制加算の算定要件について確認します。
2016年4月の診療報酬改定で後発医薬品調剤体制加算の算定要件は次のようになりました。

加算名称 点数 算定要件
後発医薬品調剤体制加算1 18 65%以上
後発医薬品調剤体制加算2 22 75%以上

後発医薬品調剤体制加算1は後発医薬品の調剤割合65%以上で算定できます。
後発医薬品調剤体制加算2は後発医薬品の調剤割合75%以上で算定できます。

後発医薬品の調剤割合の計算は以下の計算方法に従います。

  1. 後発医薬品がない先発医薬品
  2. 後発医薬品がある先発医薬品(後発医薬品と同額又は薬価が低いものについては「☆」印)
  3. 後発医薬品(先発医薬品と同額又は薬価が高いものについては「★」印)

後発医薬品の調剤割合
=〔後発医薬品の数量〕/(〔後発医薬品のある先発医薬品の数量〕+〔後発医薬品の数量〕)
=〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕/(〔2で分類される品目の数量(☆を除く)〕+〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕)

どの品目が1、2、3、☆、★のどれに分類されるかは以下の厚生労働省ホームページに記載されています。

やるべきことその1、後発医薬品について知る

患者に後発医薬品について説明する前に、薬局従業員が後発医薬品について詳しく知っておく必要があります。
後発医薬品について詳しく知ることで、患者から質問されたときにスパッと明快に回答できるようになります。

「後発医薬品については十分知識があり、これ以上勉強することはない」と言う方がいらっしゃれば、以下の12の質問のすべてに明快に答えられるかチェックしてみてください。ひとつでもわからない質問があれば、これを機に知っておきましょう。

  1. ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品とは使用する添加剤が違うのだから、先発医薬品と同じと言えないのではないか。
  2. ジェネリック医薬品の承認審査の際に求められる試験項目は、先発医薬品(新薬)の場合と比べて非常に少ない。だから、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と比べて有効性や安全性の面で劣るのではないか。
  3. 厚生労働省が定める基準によると、生物学的同等性試験の許容域を80%~125%としているが、これはすなわち、ジェネリック医薬品と先発医薬品の治療効果が最大45%の範囲で異なるということを示しているのか。
  4. 注射剤については、承認審査の際に臨床試験(生物学的同等性試験)のデータを求めていないにもかかわらず、なぜ、同等と言えるのか。
  5. ジェネリック医薬品の原薬は海外の粗悪なものを使っているのではないか。
  6. ジェネリック医薬品メーカーは、先発医薬品メーカーと比べて1社あたりの製造販売品目が多いので、各品目に対する品質管理が不十分になるのではないか。
  7. 先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えたところ、それまで得られた効果が得られなくなったことがあった。どうしてそのようなことが起こるのか。
  8. 先発医薬品とジェネリック医薬品が同等であるならば、なぜジェネリック医薬品の薬価は安いのか。やはり、品質が劣るからではないのか。
  9. ジェネリック医薬品は、先発医薬品に比べてメーカーMRの頻繁な訪問、情報提供が無いため、患者への説明不足、不安が生じないか。
  10. 世界で最も進んでいるといわれる日本の医療の中で、どうしてわざわざジェネリック医薬品を普及させる必要があるのか。
  11. 薬局で、先発医薬品の銘柄が記載された処方せん(変更不可欄に「 」または「×」の印等の無いもの)をジェネリック医薬品に変更し、その薬を服用した患者に副作用が発生した場合は、誰が責任を負うのか。
  12. 厚生労働省は、なぜ一般名処方を推進するのか。

すべて答えられましたか?患者から聞かれることの多い質問ですよね。これらに答えられないと患者の信頼を得られません。

実はこれら12の質問は、厚生労働省が作成した小冊子「ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品 Q&A~」からの引用です。小冊子に答えが記載されていますので、確認しましょう。

小冊子はこちらでPDFファイルとして公開されています。

やるべきことその2、患者に後発医薬品を勧める

後発医薬品について理解したら、いよいよ患者に後発医薬品を勧めましょう。12の質問に答えられるようにしておけば、患者からの質問にも答えられるはずです。

患者への後発医薬品の勧め方は、大別してふたつあります。ひとつは「薬代が安くなります」、もうひとつが「医療費削減に協力してください」です。

薬代が安くなります

患者への後発医薬品お勧めトークの基本は「薬代が安くなります」です。

「今回の処方せんにはジェネリック医薬品でいいですよって書いてあるんですが、ジェネリック医薬品ってご存知ですか?同じ成分、同じ効き目で安い薬で、お薬代が安くなりますのでお勧めしています。ジェネリック医薬品でご用意させていただいてよろしいでしょうか?」

というのが基本トークです。

トークの最重要ポイントは「どうしますか?」と聞かないこと。「どうしますか?」と聞くと「(よくわからないし)そのままで」と返答されてしまいます。

患者には質問に答えてもらうのではなく、了承を得ると考えたほうが良いです。患者が「はい」と答えるだけで済むように「ジェネリック医薬品でご用意させていただいてよろしいでしょうか?」と聞きましょう。

細かいポイントとしては「処方せんにはジェネリック医薬品でいいですよって書いてある」「お勧めしています」という言葉をトークに入れることです。
「処方せんにはジェネリック医薬品でいいですよって書いてある」ということで処方医が後発医薬品の使用を許可していると暗に示すことができますし、「お勧めしています」ということで「どちらでもいいです」という人に「ではお勧めのジェネリック医薬品でご用意させていただきますね」と返すことができます。

医療費削減に協力してください

「薬代が安くなります」が通用しなさそうな人や、自己負担額ゼロの患者には「医療費削減に協力してください」で攻めましょう。

「今回の処方せんにはジェネリック医薬品でいいですよって書いてあるんですが、ジェネリック医薬品ってご存知ですか?同じ成分、同じ効き目で安い薬です。国の医療費削減のためにジェネリック医薬品の使用にご協力いただけないでしょうか?」

これが基本トークです。トークの前半部分は「薬代が安くなります」と同じです。
トークの最重要ポイントは「ご協力いただけないでしょうか?」と言うことです。「ご協力いただけないでしょうか?」と言われると誰しも断りにくいものです。断ると自己中心的なように思えるからです。

患者からの質問には「大丈夫ですよ」と即答する

患者への後発医薬品の勧め方をふたつ見てきました。後発医薬品を勧めるときに患者から聞かれる質問で特に多いのが「ジェネリックって本当に元の薬と同じですか?」「ジェネリックって大丈夫ですか?」のふたつです。これらの質問には「はい、全く同じです」「大丈夫ですよ」と即答してください。患者は「あなた」を信用するからこそ「後発医薬品」という得体の知れないものを使ってみる決心がつくのです。間違っても「うーん」「えっとー」などと言って患者の決心を鈍らせてはいけません。


やるべきことその3、もう一度患者に後発医薬品を勧める

後発医薬品を勧めるのは一度で終わりではありません。一度断られた患者にも半年〜1年後にもう一度後発医薬品を勧めましょう。

というのも、世の中はどんどん後発医薬品を使って当然になっています。健康保険組合から後発医薬品を使用するよう勧められていたり、処方医が後発医薬品を推奨していたりということは決して珍しいことではありません。このような後発医薬品使用の予備軍を逃さないためにも、半年〜1年後に再度の声掛けが重要になります。

ただし、一度後発医薬品を勧めたときに強烈に拒否した患者、クレームに発展した患者などに再度声掛けをするのは危険ですので避けたほうが無難です。このような危険を避けるため、申し送り事項の欄に「GE✕✕✕」「絶対GE✕」「GE強烈拒否」などと記入しておき、誤って再度後発医薬品を勧めないようにしましょう。

やるべきことその4、品目を限定して再度患者に後発医薬品を勧める

ここまでで後発医薬品を希望しない患者に二度、後発医薬品を勧めました。ここまでは代替調剤が可能な品目を根こそぎ後発医薬品に変更するための取り組みでした。

期間を空けて複数回にわたり後発医薬品を勧めても先発医薬品を希望する患者に対しては、根こそぎ後発医薬品に変更することは諦め、品目を限定して後発医薬品を勧めてみましょう。
品目限定で後発医薬品への変更を了承してもらえることが結構あります。
私の経験から言うと、2分の1くらいの確率で了承を得られます。

次の3つの要素のいずれかに該当する品目に限定して勧めると成果を得やすいです。

  • 後発医薬品の調剤割合に大きな影響を与える品目
  • 先発医薬品と後発医薬品の薬価差が大きい品目
  • オーソライズドジェネリックが存在する品目

ひとつずつ見ていきましょう。

後発医薬品の調剤割合に大きな影響を与える品目

後発医薬品の調剤割合に大きな影響を与える品目には、例えばモニラック・シロップ65%が該当します。

モニラック・シロップ65%は薬価収載単位がmL、1日30〜60mLの服用ですから、後発医薬品の調剤割合に多大な影響を与えます。これを後発医薬品に変更できれば後発医薬品調剤体制加算がぐっと近づきます。

モニラック・シロップ65%には後発医薬品が数種類存在しますが、その中でも私がお勧めするのはラグノスゼリー分包16.05g40.496%です。
ラグノスゼリーは薬効成分をゼリー状に固めて分包してあり、服用が簡単です。シロップのようにこぼしてしまう心配がありません。

ラグノスゼリー1本はモニラックシロップ10mLに相当します。ラグノスゼリーは薬価収載単位がgですので、モニラックシロップ60mL→ラグノスゼリー96.3gの変更となり、後発医薬品の調剤割合の上昇に大きく寄与します。
1日あたり96.3単位も稼げる品目は他にはないのではないでしょうか?

先発医薬品と後発医薬品の薬価差が大きい品目

先発医薬品と後発医薬品の薬価差が大きい品目は、例えばフオイパン錠100mgです。
フオイパン錠100mgと後発医薬品との薬価差は次の表をご覧ください。

先発医薬品名 薬価 後発医薬品名 薬価 薬価差
フオイパン錠100mg 88.2 カモスタットメシル酸塩錠100mg「テバ」 10.2 78.0

フオイパン錠100mgには複数の後発医薬品がありますが、代表してカモスタットメシル酸塩錠100mg「テバ」を記載してあります。

1錠あたり78円も薬価差がありますね。6錠分3毎食後30日分の処方の場合、全量180錠ですから78×180=14,040となり、フオイパン錠を後発医薬品に変更するだけで医療費を14,040円も削減できることになります。

「医療費削減のため、フオイパン錠だけでもジェネリック医薬品を使用させていただけないでしょうか?フオイパン錠を変更するだけで約1万4千円の医療費削減になります」
と患者を説得すれば、「そんなに安くなるならジェネリックに変えてみようか」という人も出てくるはずです。

オーソライズドジェネリックが存在する品目

オーソライズドジェネリックが存在する品目も後発医薬品に変更しやすいです。
オーソライズドジェネリックの一覧表は以下の記事にあります。

オーソライズドジェネリックは以下のように勧めると良いでしょう。アレグラ錠60mgを例にとってみます。

「一つご案内がありまして、お時間よろしいですか。今まで何度かお話させていただいたと思うんですが、ジェネリック医薬品について再度ご案内させてください。今現在○○さんにはジェネリック医薬品を一切使わずにお薬をご用意しているんですが、医療費削減のために何か一つでもジェネリック医薬品を使わせていただけないかと思いまして。アレグラっていうアレルギーの薬飲まれているじゃないですか。このアレグラにはオーソライズドジェネリックというものがあるんです。普通のジェネリックは、薬効成分は同じでも添加物とか製造方法は異なるんですけど、(アレグラとオーソライズドジェネリックのシートを見せながら)オーソライズドは薬効成分だけでなくて、添加物、製造方法までもとの薬と同じジェネリックなんです。なので、錠剤の見た目も全く同じだし、薬の味とか溶け具合とか、もちろん効果も全く同じなんです。薬の名前は変わるんですが、全く同じ薬で単に値段が安くなるだけと思ってください。このアレグラ60錠をオーソライズドにするだけで医療費全体で1800円くらい安くなるんです。他の薬はジェネリックにしなくて構いませんので、アレグラだけ、オーソライズドへの変更にご協力いただけないですか?」

勧め方の重要ポイントは、先発品とオーソライズドジェネリックのシートを実際に患者に見せながら、ほら見た目が全く同じですよね、という雰囲気で話を進めることです。

オーソライズドジェネリックの説明をしないといけないので説明が長くなりがちですが、この勧め方で患者からクレームを受けたことは今まで一度もありませんので安心して勧めてください。
むしろ、断る患者からも「ご丁寧に説明していただきありがとうございます」と感謝されることが多いです。

まとめ

後発医薬品調剤体制加算を算定するためにやるべきことを4つ紹介してきました。
この4つをすべて実践できれば、後発医薬品調剤体制加算1を算定できないということはまずないだろうと予想しています。

ちなみに、私の薬局の後発医薬品の調剤割合は80%です。後発品変更不可の処方せんをある程度受け付けて80%ですから、後発品変更不可処方せんなしとして試算すると85%に達します。
本気で取り組めばこの程度の数字はどの薬局でも出せますので、ぜひ後発医薬品調剤体制加算の算定に取り組んでいただきたいと思います。

変更調剤に関する詳細なルールについては以下の記事をご覧ください。



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