薬剤師による調剤薬局の仕事解説

事務仕事から人材育成まで、調剤薬局の仕事すべてを管理薬剤師が解説します。

ブドウ糖を薬局に無償提供してくれるメーカーの一覧表

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薬局で患者に無料で配布しているもののひとつにブドウ糖があります。薬局で無料で配布しているということは、薬局はメーカーから無償提供を受けているということです。

しかし、最近はメーカーにブドウ糖の無償提供を渋られることが多くなったように感じます。決してメーカーがケチになったわけではないのですが、薬局としては困ったものです。

ここではブドウ糖を無償提供してくれるメーカーを一覧にまとめています。ブドウ糖をメーカーに発注するときにこの記事を思い出してください。一覧表はなるべく正確なものにしたいと思っていますので、不正確な点や追加情報などあればコメント欄や連絡フォームからご連絡いただければ幸いです。



なぜ薬局でブドウ糖を無料配布するのか

基本的なことですが、なぜ薬局でブドウ糖を無料配布しているかご存知でしょうか?薬剤師の方はもちろん知っていますよね。薬剤師でない方のために説明します。

糖尿病患者の中にはα-グルコシダーゼ阻害薬という薬を飲んでいる人がいます。α-グルコシダーゼ阻害薬は、糖の分解酵素であるα-グルコシダーゼを阻害することで食事による血糖上昇を緩やかにする薬です。

α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している患者が低血糖になった場合、砂糖ではなくブドウ糖を摂取する必要があります。砂糖はブドウ糖に分解されて体に吸収されるのですが、砂糖からブドウ糖への分解が阻害されてしまっているため、砂糖を摂取してもなかなか血糖値が上がらないのです。

低血糖はときに命にかかわることのある症状ですので、患者の命を守るため、薬局ではα-グルコシダーゼ阻害薬服用患者にブドウ糖を無料配布しています。


薬局でのブドウ糖の適正配布

次に薬局でのブドウ糖の適正配布について説明します。この部分は薬局勤務の方であっても、正しく認識していない方が多いのではないかと思います。

α-グルコシダーゼ阻害薬を服用していない患者へはブドウ糖を配布しない

ブドウ糖は、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している患者に配布するためにメーカーが薬局に無償提供しています。α-グルコシダーゼ阻害薬を服用していない患者は、低血糖時に砂糖を摂取すれば間に合いますので、ブドウ糖を配布しないのが基本です。α-グルコシダーゼ阻害薬を服用していない患者がブドウ糖を所望する場合は、市販のブドウ糖を購入してもらいましょう。

α-グルコシダーゼ阻害薬と同じメーカーから提供されたブドウ糖を配布する

α-グルコシダーゼ阻害薬を製造している各製薬会社が、ブドウ糖を薬局に無償提供しています。このブドウ糖、実は「自社のα-グルコシダーゼ阻害薬を服用している患者専用」です。例えば、三和化学研究所が提供してくれたブドウ糖はセイブルを服用している患者にのみ配布することができます。

必要量を考えてブドウ糖を配布する

薬剤服用歴管理料を算定している薬局は、ブドウ糖の使用頻度を把握する必要があります。ブドウ糖の使用頻度イコール低血糖の頻度だからです。ブドウ糖の使用頻度や使用量が多い場合は治療方針を変更する必要があるかもしれません。ブドウ糖を配布するときは使用頻度、使用量を把握した上で、必要量を配布するようにしましょう。

適正配布は難しい

とはいえ、適正配布は難しいというのが現場で働く薬剤師としての実感です。各社のブドウ糖を取り揃えて使い分けるというのは現実的ではありませんし、α-グルコシダーゼ阻害薬が処方されていない処方せんに「ブドウ糖を配布してください」と医師のコメントが記載されていることもあります。低血糖を心配する患者が必要以上のブドウ糖を欲しがることもありますよね。

適正配布のルールは法律で決まっているものではなく、各メーカーが定めたルールです。遵守しないことによる罰則などはありませんが、α-グルコシダーゼ阻害薬の購入量に見合った量のブドウ糖しか無償提供してもらえない方向になってきています。

適正配布を遵守するのは難しいですが、できる限り対応するということで各メーカーさんにはご勘弁願いたいです。

ブドウ糖を薬局に無償提供してくれるメーカーの一覧表

ブドウ糖を薬局に無償提供してくれるメーカーの一覧表を以下に示します。こちら(卸DI実例集 第368回)の情報を元にしています。


無償提供品:商品納入先に限る
メーカー確認:平成25年12月27日現在   顆:顆粒  細:細粒  ○:受注発注

メーカー名 ブドウ糖 包装等
剤型 含量
三和化学 10g/包 4包
2.5g/錠 (2錠/包×2)×15
第一三共エスファ 3g/錠 1錠/包×4包
ファイザー 10g/包 5包
5g/本 10mL×10本
持田製薬 10g/包 4包
MeijiSeikaファルマ 2.5g/錠 1錠/包×4包
科研製薬 10g/包 4包
富士フィルムファーマ 10g/包 5包
ブドウ糖コールセンター
0120-303-272
日本ケミファ 10g/包 4包
2.8g/錠 (2錠/包×2)×15
キョーリンリメディオ 10g/包 4包
日医工 10g/包 4包
沢井製薬 10g/包 5包
サンド 10g/包 4包
日本ジェネリック 10g/包 4包
ニプロファーマ 10g/包 4包
高田製薬 10g/包 4包
注文専用ダイヤル
048-622-2516
ビオメディクス 10g/包 4包
注文専用ダイヤル
092-931-3242
エルメッドエーザイ 10g/包 4包
陽進堂 10g/包 4包
東和薬品 10g/包 4包
大原薬品工業 10g/包 4包
日新製薬 10g/包 4包
辰巳化学 10g/包 4包
武田テバ*1 10g/包 2包×2
ブドウ糖注文専用サイト
2.5g/錠 (2錠/包×2)×15
ブドウ糖注文専用サイト

平成29年6月29日現在、ほぼ卸DI実例集 第368回からコピペしただけの状態です。

繰り返しになりますが、一覧表はなるべく正確なものにしたいと思っていますので、不正確な点や追加情報などあればコメント欄や連絡フォームからご連絡いただければ幸いです。

無償提供のブドウ糖は該当メーカーのα-グルコシダーゼ阻害薬の納品量に見合った量しかもらえない方向になっています。たくさん欲しいからといって無茶な注文をしてメーカーさんに迷惑をかけないようにしましょう。



*1:ブドウ糖提供はベイスン納入先のみ。ボグリボース納入ではブドウ糖提供不可。2018年2月16日、読者の方より情報提供頂きました。

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